さげもんの意味・種類解説
柳川では雛壇の前に飾りつける豪華なさげもんの他にもこれらをさらにひきたてる
いろんな願いをこめた単一の細工で構成された色とりどりのさげもんがあります
これらは雛壇の周囲に飾りつけられる補助的なさげもんで簡易な作りですがそれぞれに
工夫したアイデアで作られています。
そんな中から柳川に縁の深いさげもんを御紹介していきます
い草傘のさげもん
迷わず一番に御紹介したいのがい草傘の作品です
柳川の蒲池地区は畳表の生産がさかんでした。
たくさんのい草が栽培されている事からこれを傘に細工したものが古くよりあります
もっとも柳川らしい素朴なさげもんの原種になります
左写真は花茣蓙(ゴザ)の切り落としでいろんな色に染めあげてありますのでカラフルで綺麗
よく似ていて混同しやすい折紙を傘に折って作った作品があります(下)
紙細工のさげもん
左)扇型です
四角のかみを束ね淵がわを開き根元はリリヤーンで結び垂らします。
おりがみで作るよりも広告ちらしの淵を利用して作ったほうが見栄えがよくなります。
中央)扇のバリエーション
右)紙折の蝶々です。下げ輪にも蝶が舞い中央まりにくす玉の毬が華開いています
千羽鶴型もありますこちらは80年以上前に作られたそうです。
この作品には古い型のさげもんや単一細工の作品に見られる特徴があります
細工が単一種の場合均等な大きさである為細工同士のつなぎ糸を同じ長さに揃えた
藁(わら)に通してあります効率よくバランスの取れた糸絡みしにくい作品に仕上げられます。
この技法は現代では藁がストローに変わり子供達の作るさげもん工作でときどき見られます。
菱飾りのさげもん
菱飾りの作品。柳川では婦人会の講習にてよく作られた作品です。
通常は菱角の折紙ですが柳川まりの技法を使い
リリヤーン(ピューロン)を巻いた光沢のある作品です
角は束ねて房を垂らしてあります。
手毬のさげもん
左)柳川まり保存会北島先生達の作品です
中)摘み毬も婦人会の研修にて流行しました
右)木目込みまりの作品
柳川は城下町でしたので腰元の嗜みとして毬製作の伝統が残っています。
現在では柳川まり保存会、婦人会の講習会、手芸店での手習いにて引き継がれています
毬は家庭が丸く治まるとの意味を持ち
柳川まりのみをさげもん型に組みあげた作品も稀に見られます
この場合中央のまりを三連に仕上げた52さげの場合もあります。
細工全数を奇数51にこだわるよりも
全列を奇数にまとめる考えが昔からあるようです
下)御殿まりをつくられるグループの方の作品
合わせ貝のさげもん
柳川は有明海の豊富な貝類に恵まれ昔は貝塚があちこちにありました。
合わせ貝のいわれのひとつには蛤の二夫にまみえずがあります
合わせ貝のさげもんはあさりやシジミ、蛤の貝殻で作られます。
基本的に多いのは合わせ貝を二つ生地を張りつけ金紐で淵を覆います。
これをサクランボの形に飾り付けてます
大型の蛤であれば襟を作り雛人形の型にした貝人形に仕上げたりもします
綿人形のさげもん
一見洋風の簡素な作りの人形に見えますが無垢な状態で生まれてくる
赤ん坊をあらわす昔からある型で白い人形が基本だそうです。
特に一番左は80年を越える古い作品です。これらは綿でつくられます
昔は綿は貴重なもので初節句の御祝にも贈られました
下写真は北島家昭和初期の写真で人形の足元に巻物のような型にて綿が並べてあります
人形型としては結び紐で作った簡易な型もよく見かけます
蝶よ花よ 金魚のさげもん
女の子ならば美しく成長してほしいものそれを願うのは蝶や花そして金魚のさげもんです。
金魚は赤いおべべ(幼児のいう着物)の女の子がたとえだそうです
左)フェルト生地を使った色とりどりの蝶の飾りつけのさげもん
中)藤の花のさげもんは中央の摘みまりと見事に組み合わさっています
右)金魚のさげもんは簡素にリボンで出来ています
下)他にもいろいろな作品
松ぼっくり ほおずきのさげもん
ケーキのカトウ東宮永店では多種の細工のさげもんを見る事ができます
左)松ぼっくりのさげもんの配色はお手本にしたい程みごとです。
右)ほおずきのさげもんは製作大変です。
前年のうちにほおずきを水に浸し腐らせ繊維だけにします。
その中にいろんな配色のちりめんをはりつけた玉を入れてゆきます
水引のさげもん
縁起の良い結納水引でつくるさげもん 左)鶴亀 中・下)鶴伊勢海老 右)色々組合せ
御結婚の際には結納水引、水引熨斗袋を大切に残しておき
将来お嬢様が誕生した時にはこれらをまとめてつるし飾りにされてみてはいかがでしょうか。
色々な水引細工★楽天
おきあげのさげもん
おきあげとはいわゆる押絵布細工です
柳川近郊久留米地区がさかんでしたので柳川でもよく見かけますが
さげ飾り型のものはめずらしいです(ギャラリィ竹取物語)
古布生地おきあげの作品 左)猫 中)鶴 右)かるた
ケース入りのさげもん
さげもんの出し入れは大変です。そしてせっかくそろえるなら
1年中いつでも見られる様にしたいもんです。
そうゆう訳で六角柱のガラスケース入りのもけっこう多いです。
ガラス上面にフックが貼り付けらています
1掛けと6掛けの2種類がありまして
6掛け(5列+中央まり用)には直接フックに細工をむすび付けます(固定式)
1掛けは小型さげもんを中央のフックにかけます
以外と上の空間が余ってしまうので6掛けの方が好まれるようです
またこの1掛けケースは大まり房付を単品で下げる場合にも利用されます。
柳川ではこのガラスケースを製作される所が何箇所かありそれぞれに特徴があります。
最近はあまりみませんが柳川大まり専用に五角柱のもありました。
柳川の御商売されてあるお店先でも時折見かけますが、
この場合は1年中さげるため季節感にとらわれない
柳川まりのみで構成されたものが主流の様です。
特大さげもん
商売なさってる所は客目を引きたいものです。
ならば、特大のさげもんと考えるものなんですが。なかなかそうはいきません。
でも”人形の紙久”さんでは毎年、新作を用意され店先に一組さげられています。
(さげもん巡りの期間中のみです)
節句人形店の面目躍如というところでしょうか。
頼めば奥座敷を見せてもらえます。ぜひ観光に柳川に来られたら訪れたいところです。
下は平成14年の作品で赤さるを昔話に見立てたものでこの作品が私は一番大好きです。
”ケーキのカトウ”さん上宮永店こちらにも良作の特大さげもんがさげられます。
平成17年の初節句で七海ちゃんのお雛様です。(さげもん巡りの期間中のみです)
大きい上に凝った作りでこちらもぜひ目に納めておきたい柳川でも屈指の作品です。
観光コースからは離れたところにありますが車で来られたらぜひ訪れたいお店です。
店内でケーキセットも食べれますよ
個性的なさげもん
各々のお店で家業を表現したさげもんや個性的な作品です
ケーキのかとう 苺のケーキ 今福米屋 米俵 照明寺 数珠
照明寺 鳥篭 うなぎの福柳 お地蔵様 婦人会 ひょうたん
這い人形
這い人形はさげもんの細工のひとつですが赤ちゃんが早くハイハイができるように願い
枕くらいの大きな這い人形を雛壇の前に飾り付けます