さげもん教室 自作型紙
伝承さげもん教室の案内
美草は伝承さげもん柳川まり製作の基本を緒方文香先生から学んでいます 先生は旧柳川藩立花家奥女中池末フユ様を基とする”柳川まり保存会”の 初代会長北島ミチ様の甥嫁としての御縁から伝承さげもんを純粋に受け継がれ 昔ながらの技法・素材・こころざしを大切に守っておられます もう僅かしかおられない草木染柳川まり製作の師でもあります。 ご主人の仕事の関係で糟屋郡新宮にお住まいであったため其の地にて 柳川伝承まり・さげもん研究会を設立され講座を開いておられましたが 元々お住まいであった柳川にて柳川まり・さげもん教室を 開いてくださることになりました 場所は〒832-0045 福岡県柳川市本町37-5 愛幸整骨院裏 龍 宅 西鉄柳川駅西口よりかんぽの宿行き路線バスにて10分布橋バス停 車では5分 近所には柳川市民体育館あります 毎月第3土曜日 10時~14時(昼食休憩あり) 講師は上野先生です。 途中昼食 お弁当持参もしくは自宅・外食にて はじめてお越しになる方には体験製作にててまり製作 材料代込み3000円です 本来は2,3年つづく講座ですが体験製作のほか 3ヶ月コースもあります、この機会にぜひどうぞ お問い合わせ先 TEL090-3600-4487 緒方文香先生 ★パッチワーク倶楽部1月号にて表紙を飾りました。誌面でも活動を記事にしていただきました。
さげもん型紙自作製作書籍案内
2010年は誠文堂新光社”作って楽しむつるし雛”の編集取材協力をいたしました。
優美な製作で多くの生徒さんを育てられた柳川の下田美智子先生、
伊豆稲取の”絹の会”森幸枝先生、また傘福の普及に取り組んである
酒田商工会議所女性会の皆さんらによる三大つるし飾り細工、さげもん型紙
いずれも三大つるし飾りサミットに出席された地元の伝統的な製作者の会を率いる方々です
単なるつるし雛でなく各地由来の伝承細工に基づいた製作をめざす方におすすめです。
さげもん21細工、雛のつるし飾り15細工、傘福24細工の型紙製作本です
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正式なさげもんは49細工さげ+二連大柳川まりの構成なので21細工では随分少なく
感じるかもしれませんが這い人形は男の子、女の子を作りますし最下段はすべて
這い人形で揃える例も多いので5個製作して+残り20個の計25細工で良いかと思います。
また49細工さげのうち半分の細工は柳川まりで簡単に製作することは難しいので
まず細工25個で5個5列のさげもん製作をめざしてみて、余裕がまだあったら
手毬相当の細工を24個用意して正式さげもん49細工さげ+二連まりに
取り組まれたら良いかとおもいます。
参考までにさげ輪は直径33cmのものであれば49細工さげ、25細工さげの
どちらにも応用できます。(本来は49細工さげは39cmが基本サイズです)
小手毬は直径6.5cm(円周18cm~20cm)
細工をさげる間隔はどちらも18cm(49さげをコンパクトにする場合は15cm)
中央大まりは直径15cm(円周45cm±3cm)
房の長さ50cm~60cmくらいのサイズが良です
手巻きまりは習得が難しいですが木目込みまりならばある程度簡単に製作できます。
(柳川では手巻き柳川まりがはいらない作品はずいぶん評価低くなりますが・・・)
木目込みまり・さげもん組上げには柳川に御縁のある酒井愛子先生の本もいかがでしょうか
もともと酒井先生は柳川にて長く手芸の講師をしておられ
婦人会の講座を機会にさげもん作りを始めた方々がたくさんおられます。
風習としてつづく伝承さげもんとは一線を画しますが自己製作ならば
手芸の延長としての取り組みやすさがあります
ちりめん細工に関しては姫路にある日本玩具博物館 館長の井上重義氏の本も大変参考になります。 左の”ちりめん細工 伝承の布遊び” 1994年NHK出版は井上重義氏の有名な著書です 柳川でもこの本の縮緬細工を手本にさげもんを製作される方がたくさんおられました。 とてもかわいい這い人形の写真があります。最近は書店で見かけることも少なくなりました。 高い技術の縮緬細工を加えた作品を目指せます 日本玩具博物館は季節に応じて展示を変化させてありとくに 春の展示は各地の歴史あるお雛さんを観る事ができます.。 又各地方独特の手巻まりの展示お雛さんの風習として柳川のさげもんも こちらで御覧なる事ができます。 まだつるし雛がブームになる以前、柳川を訪れ柳川の玩具を 尋ねられていたとき、さげもんの事を知り見せてもらった所 乱雑に箱に入れられていたの見てびっくりされたそうです。 当時は観光の方にさげもんをみせるという発想はありません でしたが全国のお雛さんの中でも独特な稀有な風習なので いろんな形で紹介して戴き、柳川さげもん巡りの発展に 後押しをしてくださいました。 2006年私が訪館した際みせていただいた古びたさげもんは 今は亡くなられた近所の加藤飴店のおばあちゃんの作品でした 庶民のおばあちゃんが布団ハギレでつくる、今では柳川でも 見ることのない懐かしいさげもんでした。
九州より西日本辺りまではつるし飾りをさげもんと呼びますが
東日本では伊豆の雛のつるし飾りが代表になります
また山形県には近い形のものとして傘福(笠福)があります
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手まり製作
さげもんの特徴である大まりに関してですが下記を参考に製作の検討をしてみてください
柳川まり(リリヤーン)
柳川のまりを代表するのがリリヤーン巻のまりです
大さげもんの8,9割くらいは柳川まりを使用した作品で
これが真ん中にないとさげもんではないとさえ言われてます
もともとは草木染めの糸を巻くものでしたが
現代ではリリヤーン糸を解いてそれを刺繍巻きしていきます
二つ菊が代表ですが梅、熨斗など数多くの模様があります
左写真の模様は鶴熨斗です
きちんとした大まりを巻くには大変な技量と経験が必要です
近年は日焼けに強いピューロン(シルパロン)を使いますがたいていのおばあちゃんは区別をつけずに昔ながらにリリヤーン毬と呼んでいます
この糸をほどいて巻きつけて前準備をして置きます。
この解いた糸を使うことで縮緬生地の様な艶のある
光をあてるとたいへん美しい仕上がりになります。
旭化成の撤退によりピューロンから三菱レーヨンのシルパロンに移行しつつありますが
白糸の透明度の違いにより下層の糸が僅かですが透けて見える為、以前ほどは
満足できる作品ができないそうです。
20cmクラスの小まりくらいになるとまだまだ価格が
安い事と色の種類が多い事でリリヤーンでまかれる方も多いです。
摘み(ツマミ)
このまりは25年程前に流行
婦人会などの講習会で習われた方が多数製作されました。
もともとこの地方には柳川まりの基礎がある為、毬芯を流用
して摘み用ナイロン布を貼り付けていけばリリヤーンまりに
比べれば簡単にできました。
これをガラスショーケースに入れて飾り物とするのです。
贈り物や飾り物に当時はよく作られました
さげもんに使用する方もいらっしゃいますが
収納に不向き(華の潰れ)です。
いまではあまり作られなくなりつつあります
毬芯は柳川まりと共通で
鉋屑、籾殻、などです。
伝承には浜に流れるついた海綿を使っていたと伝えがあります
これに木綿の糸をぐるぐる巻いて丸くしていきます
木目込みまり
球体発泡スチロールにカッターで切れ込みをいれ
ハギレを貼り付けあまりを切れ目の溝に詰めていきます。
貼り付けるハギレは金紗(錦紗)、古布、縮緬などです
金紗(錦紗)を使うと金が映えて高貴な感じがします
古布はそれ自身の絵柄を生かした絵模様の仕上がりにできます
縮緬で仕上げる方には切れ目の溝に金紐を被せ貼りして
切れ目を覆う方法もあります。より上品になります
自作でまりを用意するとなるとこの木目込みが一番作りやすい候補になります
常々、収納の際、樟脳と一緒にすると萎んでしまうと言われ
また柳川まりを巻く方からすれば手抜きに見られがちです。
これには柳川なりの理由があって大きめの球体発泡スチロールが出回り始めた所柳川まりの毬芯を巻く手間を省くため発泡スチロールを使用して柳川まりを製作された方々がおられました。
これが数年たった後あまりにも型崩れがひどいので悪く言われるようになりました。
一般的な自作で飾り物、贈り物への使用は問題ないとおもいます。
ただこれらを安易に使用して製作した物を”さげもん”として販売されると
さげもんの全体的な質の低下と伝承の破綻を招きかねない危険を感じてます
七宝まり
これも自作用まり候補のひとつです
縮緬で作った三角の袋を12個、角を繋ぎ合わせ毬の形にします。
これも慣れが必要で経験が浅いと左の様にすこし角っぽくなってしまいます。
紅系の縮緬を内側2面にして外面側には同じ紅系の金紗を組合わせて作ると上品な仕上がりになります。
金の絵柄の位置も考えてつくればさらに良くなります
柳川では”柳川 夢工房”さん達のグループが主にこの七宝まりにてさげもん製作をされておられます。
七宝まりでの製作をお考えになるならば
井上 重義氏の著書 ちりめん細工”季節のつるし飾り”に七宝まり製作の項があります。
最後に収納に関してですが柳川のさげわの多くは竹の布巻きです。
この部分は梅雨時のカビに繁殖されやすいのでしっかり人形用の
防虫カビ剤をいっしょにしまってください。発泡スチロールは収縮反応しやすい
のでもし使用してあったらその部分はビニールに包みこんで収納してください